なかなかハード目なルックスながら、弾く為の楽器としてバッチリ調整の行き届いた鳴りの良い72年製D-35!!
木材の有効活用を目的に1965年から生産が開始されたD-35。それまでのマーチン・ギターには無い3ピース・バックという特徴を持つこのモデルは、その構造ゆえに独特の音色を生み出し、今なおマーチンらしいサウンドを持つギターとして不動の人気を誇るモデルです。その甘く豊潤なサウンドは特にフォーク系やフィンガー系のミュージシャンからの支持が熱いマーチン・ギターが生み出した名器の1つです。今回入荷は72年製の個体。全体的にかなりなビンテージ感があり、派手目のクラック修理等ありますが、きっちりと調整された弾き易く、サウンドも文句なしの1本です!
スプルースTOP、ローズウッドSIDE&BACK(バック3ピース)、マホガニーNECK、エボニー指板&ブリッジ、ローズウッド・ブリッジ・プレート、ノン・スキャロップ・ブレーシング、実測42.5mmナット、25.4インチ・スケールのマーチン伝統のドレッドノート・ボディー。この年式の35は、68年以前や88年以降のメイプル・ブリッジ・プレートとは違い、より甘く優しく包み込むような35らしいサウンドをご堪能頂ける事と思います!
そのサウンドは甘く優しい豊潤なサウンドの中に、反応の良さと煌びやかさも感じられる美しい癒し系のサウンド!一般的な70年代D-35と比べると、ややブライトでエッジ感のあるサウンドのように感じます。とは言え28のようなガツンと前に飛ぶサウンドとはまた少し違い、ふわ~っと広がるような包み込むような側鳴り感が35サウンドの魅力かと思います。35のブレーシングは他のドレッドノート・モデルよりも低めのブレーシングが採用されているところにもこの甘く優しいサウンドの秘密があるのでしょう。マーチンらしい深く奥行きの有る弾力性に富んだ、且つブライトな中低域に、コリッと艶のある煌びやかな高音が絡み、他のブランド、他のモデルのギターでは決して味わう事の出来ない癒しのサウンドをご堪能頂けます。フラットピックで掻き鳴らせば、エッジ感のあるボリューミーでパワフルなサウンドを響かせますし、フィンガーで爪弾いた時の35ならではの甘くふくよかで余韻を残すサウンドは秀逸で、あらゆるジャンルやプレイ・スタイルでマーチンならではの、35でしか出し得ないブライト且つ癒しのサウンドをご堪能頂ける事と思います!
楽器のコンディションは年式なりのキズや使用感、経年感や修理歴などあります。まず目立つ修理箇所としては、マーチン・クラック(PGのラインに沿って入るクラック)がPG外側のラインにあり、20cmほどの長さでパッキリと割れています。クラックが入ってからしばらく放置されていたようで、クラック部分にはいくらか汚れが入り、黒い筋に見えやや目立ちますが、現状はしっかり接着修理され、裏からは補強のクリートがしっかり打たれていますので、強度的な心配はありません。また、ネックやボディーに巻かれたバインディングは縮んで所々割れていますが、それぞれしっかりと接着修理されていますので、演奏上は特に支障なく、見た目だけの問題です。ネック裏はストラップピンのネジ穴埋め跡や7フレット、9フレット裏には塗装負け、1~2フレットのローフレットは長年の使用で塗装がいくらか剥がれていますが、これらもまぁがっつり使い込まれてきたビンテージとしてはこんなものでしょう。過去にコンタクト・タイプのPUを付けていたようで、エンドピンはエンドピン・ジャックになっていますが、現在はPUは外され、エンドピン・ジャックのみが残っている状態です。ブリッジ下にはPUを通すための穴は開いていません。かなりハードな環境で使われてきたようで、バインディングなどは黄ばみ、全体的にビンテージならではの薄汚れ感はありますが、ネック・リセットやリフレットなど、使うための楽器としてはしっかりと調整がなされています。
ネックはリセット済みで差し角もばっちり、ネック自体のコンディションも良く概ねストレート、現状での弦高は12フレット上で6弦側2.5mm、1弦側2.0mm程度とベストなセッティングになっています。サドルにもまだ充分な余裕がありますので、更なる弦高の微調整も可能です。フレットはリフレットされてからほとんど弾かれていないようで、気になるような凹みも無く、ほぼほぼ10割の高さが残っています。
見た目はかなりハードな出で立ちですが、その分音の反応も良く、35らしいふくよかなサウンドの中にもビンテージらしいレスポンスの良さが感じられる個体ですので、サウンド重視の方には強力プッシュの1本です!
ケースは90年代のマーチン・ハード・ケースが付属します。
SN:302596